WEB総合検査案内 掲載内容は、2025 年 4 月 1 日時点の情報です。
項目 コード |
検査項目 | 採取量(mL)
遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 | 基準値 | 実施料 診療報酬区分 判断料区分 |
所要日数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
45617 |
RAS-BRAF遺伝子変異解析KRAS/NRAS/BRAF8C241-9951-070-898 8C241-9951-070-898 |
または
|
30
27 |
常温
凍-70℃以下 |
PCR-rSSO法 | 変異陰性 |
包括4000 D004-2 1 遺染 |
4~7日 |
項目 コード |
検査項目 |
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45617 |
RAS-BRAF遺伝子変異解析KRAS/NRAS/BRAF8C241-9951-070-898 8C241-9951-070-898 |
採取量(mL) 遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 |
---|---|---|---|
または
|
30
27 |
常温
凍-70℃以下 |
PCR-rSSO法 |
基準値 (単位) |
実施料 診療報酬区分 判断料区分 |
所要 日数 |
---|---|---|
変異陰性 |
包括4000 D004-2 1 遺染 |
4~7日 |
備考
項目
- 受付曜日:月~金曜日(休日とその前日は受付不可)
- チャート参照:コンパニオン診断薬として用いられる検査項目と対象医薬品
- KRAS遺伝子およびNRAS遺伝子のそれぞれcodon12、13、59、61、117および146のアミノ酸置換およびBRAF遺伝子のcodon600のアミノ酸置換を伴うV600Eの遺伝子変異を検出し、変異の有無と変異型をご報告します。
依頼
- 『遺伝子検査依頼書』をご利用ください。
検体
- 病理組織診断にて腫瘍が認められた部位をマーク(実線で囲む)したHE染色スライドを併せてご提出ください。
- 本検査で必要な腫瘍細胞含有率は10%以上です。
- FFPE処理後12カ月以内、未染スライド作製後60日以内にご提出ください。
- 強酸による脱灰操作をした検体は検査できません。
- ホルマリン固定検体では、固定条件によって核酸の断片化が著しく、解析不能となる場合があります。検体の取り扱いについては、日本病理学会「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程」および日本臨床腫瘍学会「大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス」をご参照ください。
診療報酬
- 保険名称:悪性腫瘍組織検査/悪性腫瘍遺伝子検査/処理が容易なもの(2項目)
- 実施料:包括4000
- 診療報酬区分:D004-2 1
- 判断料区分:遺伝子関連・染色体検査
「悪性腫瘍遺伝子検査」、「造血器腫瘍遺伝子検査」、「免疫関連遺伝子再構成」、「FLT3遺伝子検査」または「JAK2遺伝子検査」のうちいずれかを同一月中に併せて行った場合は、主たるもののみ算定できます。
患者から1回に採取した組織等を用いて同一がん種に対して悪性腫瘍遺伝子検査を実施した場合は、次の通り算定します。2項目:4000点。3項目:6000点。4項目以上:8000点。
大腸癌患者における治療方針の決定として、「RAS遺伝子検査」、「BRAF遺伝子検査」の2項目包括点数として4000点を算定できます。
早期大腸癌におけるリンチ症候群の除外を目的に本検査を実施した場合は、「BRAF遺伝子検査」として2500点のみ算定できます。RAS遺伝子検査の所定点数を併せて算定することはできません。また、マイクロサテライト不安定性検査を実施した年月日を、診療報酬明細書の摘要欄にご記載ください。
チャート

容器
参考文献
日本臨床腫瘍学会: 大腸癌診療における遺伝子関連検査のガイダンス, (第3版), 2016.
検査項目解説
臨床的意義
細胞膜に存在し、種々のシグナルを細胞内や核に伝えるRas蛋白の遺伝子検査。点突然変異でシグナルのoffが効かなくなり、抗EGFR抗体薬の効果が減少。
RAS(ラス)遺伝子の産物であるRAS蛋白は、細胞膜の内側に局在し、細胞内にシグナル伝達を行う分子量21,000のタンパク質である。上皮成長因子受容体(epidermal growth factor: EGFR)をはじめとする細胞外の各種刺激を、それぞれの受容体で受け取り、細胞内のチロシンキナーゼを活性化することで、細胞外の刺激を細胞内や核内に伝達する役割を担っている。
大腸癌の日本での患者数は、食生活の欧米化などに伴い1950年頃から増加し続けている。40歳以降の中高年者に多いのが特徴で,2018年の統計で罹患者数は男性が約90,000人(胃癌、肺癌に次いで第3位)、女性では約70,000人(乳癌に次いで2位)に達し、女性のがん死亡者数で第1位、男性でも第3位となっている。
多くの大腸がん患者においてEGFRが高度に発現していることが判明し、以降、その発現を抑制するため、人工的に合成された抗EGFR抗体が癌の治療に用いられるようになった。抗EGFR抗体薬はEGFRとEGFの結合を阻害することでシグナル伝達を遮断するが、RAS遺伝子に変異があると、EGFR活性を阻害してもシグナル伝達は抑制されないため、腫瘍増殖にストップをかけることが出来ない。すなわちこの種の抗癌剤の薬効は期待薄と判定される。
ヒトのRAS遺伝子には、KRAS, NRAS, HRASの3種類が存在する。このうち大腸癌はKRAS, NRAS遺伝子の変異が多く認められ、エクソン2、3、4いずれかに変異が存在すれば、抗EGFR抗体薬は奏効し難いとされる。大腸癌におけるras遺伝子変異の頻度は、COSMIC(Catalogue Of Somatic Mutations In Cancer)databaseによると野生型に対しKRAS遺伝子34.6%、NRAS遺伝子3.7%、HRAS遺伝子0.2%とされており、中でもKRASエクソン2(コドン12,コドン13)の変異が多くを占める。抗EGFR抗体薬は高価なため、適応の有無の予測は患者負担を考える上でも有用である。なお、日本臨床腫瘍学会による大腸がん診療における遺伝子関連検査などのガイダンス 第4版によれば、KRASおよびNRAS遺伝子のコドン12、13、59、61、117、146の変異の有無を測定することが望ましいとの記載がある。本検査はその基準を満たすもので、抗EGFR抗体薬適応の有無判定や治療効果予測に有用な情報を提供する検査と位置づけられる。
【陽性を示す疾患】
大腸癌
関連疾患
C18.9.12:大腸癌 → C15-C26:消化器腫瘍
※ ICD10第2階層コードでグルーピングした検査項目の一覧ページを表示します.